宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 133日目

旅の133日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

映像データの復元作業は、さらにわずかずつ進展している。

ゼインが調整した再構成アルゴリズムによって、今まで見えていなかった明暗の周期的変化がよりはっきりと抽出され始めた。現時点では「映像」と呼ぶには程遠いが、どうやらこれは環境内部の空間情報のようだとエリスは推測している。

光と影の変化は、単純な背景ノイズではなく、規則的な構造物の輪郭を浮かび上がらせている可能性がある。もしそうなら、記録されているのは単なる情報ではなく、漂流船内部のかつての構成、あるいはその利用状況かもしれない。

やはりこの船は単純な記録媒体ではない。環境そのものを含めた全体構造を保存する記憶装置、そんな印象が日に日に強まってきている。もしかすると、そこには設計者たち自身の姿が含まれているのかもしれない。

艦長は引き続き冷静に全体を見守っている。直接の危険性は今のところ生じていないが、未知の情報体系に接触している以上、慎重を崩さない姿勢は正しい。

作業を終えた後、短時間だけ訓練区画で軽い身体調整を行った。こうして身体を動かす時間が、情報の渦から一度距離を取る良い切り替えになる。

漂流船は静かにそこに在り続け、私たちは静かにその内側へ少しずつ近づいていく。
明日もまた、次の断片を拾い上げる。

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