旅の128日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日の調査も、これまでの積み重ねを静かに少しだけ進めるものだった。
ゼインが追加投入したドローンが、複層構造のさらに奥深くまで微細スキャンを実施。結果として、中央領域に存在すると思われる中枢格納核の輪郭が、ようやく解析画像として現れ始めた。
内部は想像以上に複雑で、単純な記録装置というよりは、より動的な情報処理構造に近いものだとエリスは推測している。現段階では情報抽出はまだ行わず、まず構造の完全な把握を優先している。慎重さが重要だと皆が理解している。
艦長も現場の報告を丁寧に確認しており、「必要なら数日でも数週間でもかける」と静かに話していた。焦りのないこの判断は、今の状況ではやはり適切だと思う。
漂流船は、依然沈黙を保ちながら、しかし明らかに計算された設計をもってそこに存在している。どこまでが偶然で、どこからが意志の痕跡なのか――その境界線は依然見えないままだ。
夕食後、短い時間だけ植物ユニットに立ち寄った。新芽がさらに成長しており、生命の営みの静かな継続を感じさせる。
未知を前にしても、こうした日常の安定が、今の僕たちに必要な支えになっている。
明日も引き続き、慎重に観察を重ねていく。
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