宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 182日目

旅の182日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日も漂流船のケースを観察した。眠る男の状態は昨日よりも安定しており、脈動は規則的になり、筋肉反応も明確に増えていた。モニターに映る波形が、まるで「目覚めの前の呼吸」のように見える。

ただ、覚醒の兆しが強まるにつれて、ケース全体から微弱なエネルギー波が検出されるようになった。これは単なる生命維持装置の機能なのか、それともケースそのものが彼を守るための“シェルター”なのか。解釈は分かれている。

船内の議論も活発だ。今すぐ介入すべきではない、という意見が大半だが、もし装置の自動制御に問題があれば、放っておくことが危険につながる。判断は難しい。僕自身も迷っている。命を前にしたとき、探査や研究よりも優先すべきことは何なのか。

夜、自室で記録を見返しながら思った。漂流船と球体が示してきた数々の応答は、すべて「彼」を指し示していたのではないか。
この長い航海の中で、僕たちが出会った初めての“人”かもしれない。

明日も観察が続く。だが、彼が目を開ける日は、もう遠くないような気がしている。

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