宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 181日目

旅の181日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

透明なケースの中で眠り続けていた男に、今日も変化があった。昨日は脈動が確認されただけだったが、今日はさらに微弱な筋肉反応が記録された。指先がほんのわずかに動いたのだ。偶然の電気的な反射かもしれないが、それでも確かに「生の兆し」があった。

ケースの内部温度もごく僅かに上昇している。生命維持装置が自動的に段階を切り替え、覚醒の準備を進めているように見える。だが、完全に安全だと判断できる根拠はまだない。装置の仕組み自体が解明されていない以上、下手に介入すれば命を危険にさらす可能性もある。

船内の空気は一層張り詰めている。これまで「遺物」として扱っていた漂流船が、今は明らかに“生きた存在”を抱えているのだ。目を覚ましたとき、彼が何者なのか、どんな記憶や意志を持っているのか……想像するだけで背筋が冷える。

僕自身は、その男が「答え」を握っている気がしてならない。球体の信号と、彼の反応が連動しているのなら、ここまでの調査は全て“目覚め”に繋がっていたのかもしれない。

明日以降も経過観察が続く。次にどんな兆候が現れるのか――期待と不安が同じ重さで胸にのしかかっている。

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