旅の177日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は、新しい信号パターンの設計を行った。
数列を基本にしながらも、単純な繰り返しだけではなく「変化」を意識した構成にする。短い信号を四回、間を置いて二回。これなら、単なる数列か、それとも「組み合わせ」として理解されるのかを確かめられるはずだ。
午前中はシミュレーションを重ね、誤作動の可能性を排除する調整が続いた。細かい作業ではあるけれど、こうした確認を怠れば、一瞬の送信が取り返しのつかない結果を招くかもしれない。それほどに、この対話の一歩は重い。
午後は船内で少しだけ静かな時間を持った。窓から星を眺めながら、もし本当に相手が知性ある存在だとすれば、今この瞬間、僕たちは歴史の転換点に立っているのだと実感した。人類がかつて空を見上げて宇宙を夢見たときと同じように、今度は宇宙のどこかからの「夢」が僕たちに届こうとしているのかもしれない。
明日、この新しい信号を実際に送信する予定だ。
期待と不安が入り混じっているけれど――どちらにせよ、この一歩は避けて通れない。
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