旅の174日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
昨日のアラームの余韻が、まだ船内に残っている。
直接的な被害はなく、外部センサーの数値も安定しているが、誰もが「ただの誤作動ではない」と感じている。漂流船に近づいてから続いている信号の数々を考えれば、偶然と片づけるのは難しい。
今日はその揺らぎのデータを詳しく解析した。波形を分解してみると、あの瞬間に記録された電磁波は、既に取得している球体の応答パターンと部分的に一致していた。偶然の一致にしては精度が高すぎる。
まるで、船そのものに呼びかけられたような感覚だ。
日常作業は続いているけれど、皆の表情には緊張がにじんでいた。僕も一日中、頭の片隅に「次は何が起こるのだろう」という思いが張り付いていた。漂流船はただの残骸ではなく、まだ動き続けている存在だ。そのことを改めて突きつけられた気がする。
夜、自室で記録をまとめていると、不意にあのアラームの音が思い出された。警告音というより、何かの「鐘」のようにも感じられた。
危機の合図なのか、それとも始まりを告げる音なのか――明日、さらに調査を進めれば答えが見えてくるはずだ。
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