旅の168日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日の議論は長引いた。昨日の「一回、二回、三回」に続けて四回目の光が返ってきたことが、偶然ではなく「意思ある応答」だという認識は、ほぼ全員が共有していた。ただ、その先をどうするかで意見が分かれた。
「次は五回を送るべきだ」という案もあれば、「変化を加えて確かめるべきだ」という慎重な声もあった。僕自身は後者に近い。相手がこちらを理解しようとしているなら、対話の流れを乱さないことが大切だと思う。けれど、歩みを止めずに確かめる工夫も必要だ。
午後はさらに過去のデータを見返した。リズムの中にごく微小な揺らぎがあり、それが偶然のノイズなのか、意図的な「アクセント」なのかはまだ分からない。ただ、もしそれが意味を持つなら、僕たちはまだ“入口に立ったばかり”に過ぎないのだろう。
夜、窓から星を眺めていたら、ふと「これも挨拶なのかもしれない」と思った。静かに光る星々が、長い時間を超えて僕たちに届いている。そのリズムを、僕たちはただ見上げて受け止めてきた。球体から返ってきた光も、それと同じように受け取るべきなのかもしれない。
明日は、次の信号パターンを正式に決める予定だ。
一歩一歩、確実に前へ。
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