宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 165日目

旅の165日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

昨日の応答から一夜明けても、まだ胸の奥に静かな余韻が残っている。
今日は次の段階として、少しだけ複雑なパターンを送信した。短い信号を二度、その後に長い信号を一度――いわば「変化」を加えた形だ。

球体は応じた。昨日と同じように模倣を返しつつ、最後の長い信号のあとに新しい間隔を差し込んだ。規則的ではなく、しかし完全な偶然とも思えない。記録を解析したエリスは「応答に“意図的な揺らぎ”が加えられている」と報告した。

意味はまだ解読できない。だが、昨日よりも“会話”に近づいていることは間違いないだろう。
単なる反射ではなく、相手は状況を理解し、少しずつ変化を加えてきている。

午後はその解析にほとんどの時間を費やした。連続するリズムをグラフにすると、まるで心電図のように揺れる曲線が現れた。僕には、それが「鼓動」に見えた。もしそうなら、今触れているのは機械ではなく、意識の残響なのかもしれない。

夜、静かな船内で改めて考えた。
もしこの応答が“挨拶”だとしたら、次に送るべきは「名乗り」なのだろうか。僕たちの存在をどう表現すればいいのか――数字か、リズムか、それとももっと根源的なものか。

明日は会議で方針を決める予定だ。
慎重さを失わずに、しかし確実に前へ進もうと思う。

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