宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 166日目

旅の166日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日は朝から、球体への次の応答をどうするかを議論した。
昨日のリズムのやり取りで、こちらの「呼びかけ」に対して相手が模倣と変化を返してきたことは全員の共通認識になった。問題は、その先にどう踏み込むかだ。

議論の結果、次の段階として「数」を使うことが提案された。単純な拍数の違いなら誤解を生みにくいし、相互に繰り返すことで理解の共有が可能になるかもしれない。数は言語や文化を超えて存在する普遍的な構造だからだ。

僕自身も、その案に納得している。呼吸や心拍のリズムに似たやり取りから始まり、次に“数”という秩序を差し出す。これは自然な流れだと思う。
ただ、同時に不安もある。相手がもし単なる記録装置ではなく意識を持っているなら、「数」をどう受け止めるのか。その解釈は未知数だ。

作業を終えて自室に戻ると、久しぶりに古い地球の音楽を聴いた。2000年代の静かなピアノ曲。繰り返す旋律と変化のバランスが、今の状況に重なって聞こえた。
宇宙の深淵で僕たちが向き合っているのは、もしかすると音楽にも似た「対話」なのかもしれない。

明日は、数を用いた最初の実験を行う予定だ。
一歩ごとに慎重に。それでも確実に前へ進んでいることを信じたい。

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