宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 190日目

旅の190日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

ケースの中の男は、今日も眠りの中にいた。しかし、これまでと違って脳波の揺らぎが周期的な安定を超え、一瞬だけ急激なピークを記録した。まるで夢の中で強烈な刺激を受けているかのようだった。呼吸は少し荒くなったが、すぐに落ち着きを取り戻した。

球体の信号も同時に変化を示した。これまでの数列や短い変調の組み合わせに加え、休止の間隔が不規則に揺れたのだ。解析班は、これは彼の脳波のピークと連動している可能性が高いと見ている。もしそうなら、球体は単なる翻訳装置ではなく、彼の意識の動きを“外へ響かせている”存在なのかもしれない。

船内では「次に目覚めたとき、彼は球体を介して僕たちと話すのではないか」という推測が飛び交っている。僕自身も、その可能性を否定できない。むしろ、これまでの一連の応答は、その準備段階だったように思えてならない。

夜、自室で記録を整理しながら、胸の鼓動が妙に早いのを感じた。未知への恐れと、長い航海の中で初めて訪れる「対話」の予感。
彼が目を覚ました瞬間、僕たちは何を見るのだろうか。明日が来るのを、待ち遠しくも、怖くも思う。

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