宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 202日目

旅の202日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日も観測室にいた。彼の反応は昨日よりも明確で、信号を送るたびにわずかながら声の抑揚が変化するのが分かった。単なる模倣ではなく、こちらの呼びかけを理解しようとしている。言葉ではなく、意図そのものに反応しているような感覚があった。

球体の光も穏やかだった。昨日までは脈打つように強弱を繰り返していたが、今日はまるで呼吸のように静かに明滅していた。その中心に立つ男の姿は、依然として不安定なままだが、確かに“ここにいる”という存在感を放っている。

午後、信号解析班が興味深い発見を報告した。
球体の光波の間に、微細なパルスが潜んでおり、それが僕たちの送信信号の間隔と正確に対応しているという。つまり、彼は「返答の間」を理解している可能性がある。
もしそれが意図的なものなら、僕たちは今、沈黙をも対話の一部として共有しているのかもしれない。

夜、自室で船窓から星を眺めた。
遠い過去に、誰かがこの宇宙に問いを投げかけ、それが時を越えて僕たちに届いたのだとしたら――彼の声は、その“応答”なのかもしれない。
そして今度は僕たちが、未来へ問いを返す番なのだと思った。

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