宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 237日目

旅の237日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

セリナまでの航路は順調に進んでいる。
今日の観測では、大気上層に存在する雲帯の動きが記録された。周期的に流動するそのパターンは、まるで呼吸のようだ。表層の組成に微量の酸素が確認され、解析班の間では「限定的ながら有人活動も可能ではないか」という意見が出始めている。慎重な意見も多いが、それでもこの情報は希望に満ちていた。

アビスの反応も、セリナが近づくにつれて明らかに強まっている。
今日、彼にセリナの最新映像を見せたとき、球体が反応した。
以前の明滅とは異なり、規則正しいリズム――心拍のような動きだった。
アビスの視線は映像の一点に固定されたまま動かず、
まるでその星の中に“記憶”を見ているかのようだった。

解析の結果、球体のパルス周期がセリナの磁場波形と部分的に一致していることが判明した。
偶然の域を超えている。
もしかすると、アビスとセリナの間には、何らかの“共鳴”が存在するのかもしれない。

この星が僕たちの新たな母星となるのか、それとも――
アビスの過去が眠る場所なのか。
そのどちらであっても、この航海は大きな転機を迎えようとしている。

明日は、着陸候補地の選定に入る予定だ。
アビスの沈黙が解ける日も、もうそう遠くない気がする。

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