旅の274日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
先行ドローンが予定通り帰還した。
損傷は最小限で、センサー群もほぼ正常。
これだけでも、まずは大きな前進だ。
解析班が回収データの一次チェックを行ったところ、大気・地形・電磁環境のすべてが安定しているとの報告。
生命反応は検出されず、脅威となる動体反応もゼロ。
ここまで静けさが続くと、安心と同時に、やはり妙な違和感を覚える。
“安全すぎる星”という表現が一番近いかもしれない。
今日の僕は、ドローン帰還を受けて、降下ポッドの初期チェックに取りかかった。
内部環境の気圧調整、外殻の耐熱コーティングの確認、生命維持系統の新しいバックアップの動作テスト。
何度も見慣れた装置なのに、ゼオフォスの記憶があるせいか、ひとつひとつの確認にいつもより時間がかかった。
慎重でありたい。
間違いを許されない段階に入っている。
アビスは医療区画の通路で僕とすれ違った。
軽く会釈するような仕草を見せた。
言葉はないが、“こちらを理解しようとしている”感じがあった。
ただ、それ以上は関わらない。
その距離感が今はちょうどいい。
夕食は合成タンパクのハーブ焼きと野菜ブロス。
食べながら、「あと何日で、この船を降りることになるのだろう」
そんなことを考えてしまった。
明日は回収データの詳細解析。
その結果次第で、降下地点を正式に決められるはずだ。



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