旅の272日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は、セリナの地表に存在する微弱放射線の再解析を行った。
結果はこれまでと変わらず、人体への影響はほぼゼロ。
自然放射線として説明がつく範囲で、危険因子ではない。
ただ、その「均一さ」が気になっている。
通常、惑星の地殻には場所ごとに濃度の差が出るものだが、
セリナの値はどのサンプルでもほぼ同じ。
まるで“均された”ように整っている。
これが生命の不在と関係するのかはまだ分からないが、
違和感だけは日に日に強くなっている。
ゼインは機材チェックの合間に「ここまで整った星は初めてだ」と言っていたが、
僕自身は、その整い方が逆に不自然に思える。
とはいえ、これはまだ個人的な感覚にすぎない。
科学的な根拠なしに判断を揺らすわけにはいかないから、日記に書くくらいで丁度いいのだろう。
アビスは今日、医療区画で軽い運動プログラムに参加していたらしい。
身体機能は順調に回復しており、船内での生活にも慣れてきていると報告があった。
少なくとも彼の存在が調査の妨げになることはない。
夕方、大気データの長期推移を見直した。
これもまた、驚くほど安定している。
恒星風の影響も少なく、気候変化の兆候も薄い。
まるで“生命のいないまま保たれている理想環境”。
そんな印象すら抱く。
なぜここまで安定したままなのか――その理由が知りたい。
今日の夕食は簡単に、合成パスタと野菜プロテイン。
調査の日は、胃に負担のないものを選びがちだ。
明日は、先行ドローンが集めた地表の詳細マッピングを統合する。
隠れた手がかりがあるとしたら、そろそろ浮かび上がってきてもいい頃だ。



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