旅の290日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は地質サンプルの採取を中心に作業した。
表層から数十センチ下まで掘り進めたが、層構造は驚くほど単調で、年代差を示す痕跡がほとんど見られない。
粒子の摩耗状態も均一で、長い時間の変化が重なったというより、同じ条件が維持され続けてきた印象が強い。
分析用にいくつかのサンプルを密封し、即席ラボで初期測定を行った。
化学組成は予測範囲内だが、ばらつきが少なすぎる点がやはり気になる。
異常ではない。ただ、自然としては静かすぎる。
周囲の環境に変化はなく、風向きも気温もほぼ一定だ。
時間の経過を、数値でしか実感できない。
この感覚に慣れすぎないよう、意識的に記録を取り続ける必要がある。
通信は終日安定していた。
船からの指示も簡潔で、判断を急がせるような内容はない。
この距離感はありがたい。
携行食で簡単に昼を済ませた。
味は淡白だが、体調に問題はない。
明日は採取したサンプルの詳細解析に入る。
この星の“変わらなさ”が何を意味するのか、数値の中から探っていきたい。



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