旅の288日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
地表での一日目を、観測と記録に集中して過ごした。
夜間の環境変動はほとんどなく、気温・風速・放射線値はいずれも安定している。
セリナは相変わらず、変化を見せない星だ。
周囲半径数百メートルを限定的に移動し、地表の物性を確認した。
土壌は乾いているが、粒子の分布が均一で、侵食や堆積の痕跡が極端に少ない。
自然の作用を受けてきたというより、長い時間、同じ状態を保ってきた印象を受ける。
通信状態は良好で、ノア・アルカ号からのデータ更新も遅延なく届いている。
数値を見ている限り、不安要素は見当たらない。
それでも、判断は急がないほうがいい。
生命反応は引き続き検出されず、音も匂いも乏しい。
静けさに慣れつつある自分に、少し注意を向けておきたい。
携行食で簡単に栄養補給を済ませた。
味は最低限だが、体調に問題はない。
明日は観測範囲をわずかに広げる予定だ。
この星が何も示さない理由を、焦らず、一つずつ確かめていきたい。



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