旅の298日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は船内の空気にこれまでとは少し違う緊張を感じた。
正式な対立というほどではないがセリナに留まるべきか、それとも新たな星を探し続けるべきか、考え方が大きく二つに分かれ始めている。
一方は数代にわたって平穏に暮らせる可能性を重視する立場。
もう一方は未来に確実な終わりが見えている星を母星と呼ぶことへの慎重さを重んじる立場だ。
どちらも理解できる。
数字の見方が違うのではなく、時間の置き方が違うのだと思う。
通信の文面や質問の端々から、それぞれの立場がにじみ始めている。
誰も声を荒らげてはいないが判断の重さを全員が意識しているのが伝わってくる。
地表の環境は今日も変わらない。
セリナはこの議論に何の反応も示さず、ただ静かにそこにある。
携行食で食事を済ませた。
味はいつも通りだが今日は噛む回数が少なかった。
この星を選ぶか、それとも選ばないか。
答えは一つでもそこへ至る理由は一つである必要はない。
その事実をきちんと記録しておきたい。



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