旅の299日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日の地中レーダー解析で降下地点の地下に安定した水層が存在することが確認された。
深度は浅く、氷層と液体水が混在している可能性が高い。
成分分析でも有害要素は見られず、処理を前提にすれば生活用水として十分に利用できる。
セリナは生きるために必要な条件を確かに備えている。
これまで仮定として語られていたことがようやく数値として裏付けられた。
短期的な滞在ではなく、世代をまたぐ生活も視野に入るだろう。
通信で結果を共有すると船内の反応は静かだが確実だった。
希望として受け取る者もいれば条件が揃ったからこそ次を考える者もいる。
議論は対立ではなく、進路を分ける形で進み始めている。
アビスについてはこの星に留める理由が特に見当たらないという医療班の判断が共有された。
彼は回復しており移動に支障はない。
行き先が決まらない存在が止まる必要もないのだと思う。
携行食で食事を済ませた。
今日は久しぶりに水の味を意識した。
セリナは人が生きることを拒まない星だ。
ただ、すべてを託す星かどうかはまた別の問いになる。



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