旅の320日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日はゼインが防護服を着用せず、地表で作業を行った。
電力中継装置の設置と調整で、長時間同じ場所に留まる必要があったためだ。
彼にとっては特別な判断ではなく、環境条件と自身の身体特性を照らし合わせた結果に過ぎない。
ゼインは静かな大気の中を、ごく自然に歩いていた。
呼吸音も装備の駆動音もほとんどない。セリナの空気は彼に干渉せず、彼もまた、この星に余計な影響を与えていないように見えた。
同じ地表に立っていても、僕とは立ち方が違う。
数値上の問題はなく、作業も滞りなく完了した。
彼の内部環境は安定しており、大気成分の揺らぎも影響を与えていない。完全機械化という選択が、この星では一つの適応になっていることを、改めて実感する。
それでもゼインは特別な態度を取らない。防護服を着ていないことを誇るでもなく、こちらに何かを示すわけでもない。ただ、必要な作業を終え、静かに戻ってきただけだ。
夕食は簡単な保存食だった。ゼインはいつも通り、味にはあまり関心を示さなかった。
同じ星に立っていても、同じ空気を吸っているわけではない。その違いは優劣ではなく、選択の積み重ねだ。セリナは、その差を淡々と映し出している。



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