旅の324日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日はエリスと少し話をした。
作業の合間というほどでもなく、記録室で同じデータを眺めているうちに自然と会話が生まれた。
彼女は相変わらず出来事そのものよりも、それがどう記録されるかを気にしている。
セリナでの判断について、エリスは淡々とした口調で後世からどう見えるかという視点を示してくれた。
今は小さな選択の積み重ねでも、数百年後には大きな分岐点として読まれるかもしれない。
その言葉は記録係としての責任感から出たものだと思う。
僕は雨の可能性や地下水の扱いについて触れた。
エリスは意見を押し付けることはなく、ただ、その考えを残すこと自体に意味があると言った。
結果よりも迷いが存在したという事実が、未来の判断材料になるのだろう。
会話は長くは続かなかったが、不思議と落ち着いた時間だった。
エリスと話すと判断を急がなくていいと確認できる。
夕食は簡単な保存食だった。今日は少し静かな気分で食べた。
セリナで起きていることはすべてが未完成だ。
その未完成さをそのまま残す役割を担っている人がいる。
その存在は、この場所での生活を静かに支えている。



コメント