旅の335日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は居住ブロックの切り離し手順について、最終工程の確認が行われた。
分離そのものはまだ先だが、手順を一つずつ現実の動作として追っていくと、ここが仮設ではなくなる瞬間が近いことを実感する。
船から供給されていた機能を、自分たちの足元で維持する。言葉にすれば単純だが、その意味は大きい。
独立電源の負荷試験では、想定よりわずかに消費が高かった。
原因は生活区画の照明設定にあり、調整ですぐに収まった。
こうした細部の積み重ねが、分離後の安定に直結する。焦らず修正していくしかない。
外では固定フレームの増設が進んでいた。
地表のわずかな傾斜を均す作業も続いている。
セリナの地面は静かで安定しているが、それでも長期設置を考えれば、微細なズレは放置できない。
地下水の利用量は変えず、維持を優先した。
植物区画も大きな変化はない。急いで成長させるより、環境に慣れさせることを優先している。
地球からの追加通信は今日もなかった。
待つことに焦りはない。ただ、この星で積み重ねている日々が、遠くの判断とどう重なっていくのかを時折考える。
夕食は簡素な温食だった。体調は安定している。
船の一部が星に残る。その事実が、日ごとに現実の重みを増している。
ここは通過点ではあるが、同時に確かな拠点にもなりつつある。
セリナでの時間は、静かに形を整えている。



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