旅の9日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は船内の調整作業で忙しい一日だった。循環システムに若干の負荷がかかっているとの報告を受け、環境維持ユニットの細部まで点検を行った。原因は、小規模なフィルターの詰まりだった。こうした小さな問題が宇宙では命取りになるので、技術チームと協力して即座に対応した。
その合間に、乗員の一人でメカ・ヒューマンズのゼインと話す機会があった。彼はバイオ・ヒューマンズとは対照的に、身体の多くを機械化している。彼の腕は完全に人工で、内部に内蔵されたツールでメンテナンス作業を行っていた。「効率を考えれば、生身よりもはるかに優れている」と淡々と話す彼に、少し羨ましさを感じた。
ただ、ゼインが言った。「俺たちは便利だけど、便利なだけだ。ミラたちみたいに生命を育てることはできない」と。その言葉には少しの寂しさが含まれていた。種族が違えど、みんなが自分の存在意義を模索しているのだと思う。
夜には、再び星を眺めた。何もない闇の中に浮かぶ光の点が、僕たち全員を繋げているような気がした。船内の誰もが異なるけれど、同じ希望を抱えている。それだけは確かだ。
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