旅の22日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
休日明けの今日は、少し慌ただしい一日だった。船内システムの定期診断があり、環境維持ユニットを含むすべての設備を細かくチェックする必要があった。空気や水の循環に異常はなく、診断結果は良好だったけれど、これらがどれほど複雑でデリケートな仕組みで成り立っているかを改めて実感した。
昼過ぎ、ニューヒューマンズのエリスが再び図書データを調べているのを見かけた。彼女は、地球の災害を乗り越えた人々の記録を読んでいたらしい。「彼らがどんな逆境の中でも希望を持ち続けたのを知ると、自分たちの使命の重さを感じる」と言っていた。その表情は真剣で、彼女の覚悟に心を動かされた。
午後にはミラの植物ユニットを訪れた。新しい種が発芽していたが、その中にいくつか成長が遅れているものがあった。彼女は「宇宙船の中では、どんな生命も無理をしているのかもしれない」と静かに話していた。けれどその言葉には、諦めではなく強い意思が感じられた。
夜、修理作業を終えたゼインと短い会話を交わした。「こうやって毎日船を維持してるけど、この旅が終わったら俺たちはどうなるんだろうな」と彼は言った。僕は、「それを見つけるのも、この旅の目的の一つだ」と答えたけれど、本当の答えはまだわからない。
一日を終え、窓の外に広がる星空を見ながら考えた。僕たちは何もかもを背負って旅を続けている。その未来に何が待っているのかはわからないけれど、確実に何かを作り出しているという感覚がある。それが希望だ。
コメント