宇宙船ノア・アルカ号　乗船日記　44日目

旅の44日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

今日は船内に少しだけ新しい変化があった。共有スペースにライラが「健康維持のための軽い運動プログラム」を提案し、実験的にみんなで試してみることになった。狭い宇宙船内では体を動かす機会が少ないため、乗員たちの間でも好評だった。

プログラムは、無重力環境でもできる軽いストレッチや簡単な体操が中心だったが、意外と楽しくて、参加したみんなが笑顔になっていた。ライラが「体を動かすことで、心も少しリフレッシュするよ」と言ったのが印象的だった。こういう活動が、僕たちの気持ちを軽くしてくれるのだと思う。

その後、ミラと一緒に植物ユニットを訪れた。彼女が新しい植物の配置を工夫して「小さな庭」を作り始めていた。彼女は、「これでみんながもっと植物に親しみを持ってくれるといいな」と言っていた。その庭を見ていると、船内に少しだけ地球の自然が蘇ったような気がして、心が温かくなった。

午後にはゼインが、新しいツールの試作品を使って修理作業をしているのを見に行った。「これは今後の探査にも役立つかもしれない」と話す彼の目は、いつも以上に真剣だった。彼の手際を見ていると、彼がどれだけこの船を守ることに力を注いでいるのかが伝わってくる。

夜、エリスが「地球の伝統的な遊び」として折り紙を教えてくれた。みんなで小さな鶴を折り、それを植物ユニットの「庭」に飾ることにした。紙の鶴が緑の中に揺れているのを見ていると、地球の記憶が少しずつ形を取り戻しているように感じた。

今日は小さな活動の連続だったけれど、それが僕たちの生活に新しい彩りを与えてくれた一日だった。新しい星にたどり着くその日も、きっとこんな風に、一歩ずつ何かを作り上げていくのだろう。