旅の97日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
封鎖区域へのアクセス要求が続いている。
昨夜からエネルギー反応はさらに強まり、ゼインとエリスの解析によると、封鎖システムはすでに手動制御の範囲を超えていることが判明した。
「つまり、こっちがどうしようと関係なく、いずれ開くってことか?」
カイが低く呟いた。ゼインは黙ってモニターを睨みつけていたが、やがて小さく頷いた。
「時間の問題だな。」
艦長はすぐに決断を下した。
「強制開放される前に、こちらで封鎖をコントロールできるか試す。」
これは慎重な判断だった。向こうが制御を完全に奪ってしまう前に、僕たちが状況を管理する必要がある。
エリスが急いで封鎖システムの解析を進め、ゼインが手動制御の可能性を探る。
「……これ、解除はできる。でも、一度開けたら再封鎖は難しいかもしれない。」
「まるで”一方通行の扉”だな。」カイが皮肉めいた笑みを浮かべた。
ライラが腕を組んで鋭い視線を向ける。
「つまり、開けた瞬間に何が出てくるか分からないってことよ。」
ミラはじっとモニターを見つめながら、「もしかして、あの中の”何か”も同じことを考えてるんじゃないかな」と呟いた。
「どういう意味だ?」僕が聞くと、彼女は静かに言った。
「もし、この扉が向こうからも”開けるべきか迷っている”ものだったとしたら?」
誰もすぐに答えられなかった。
艦長は静かに言った。
「こちらが決断を下さなければならない時が来た。」
そして、全員が集められた。
「この扉を開くか、開かないか。」
僕たちは、選択しなければならない。
どちらの道を選んでも、この旅の流れは大きく変わることになるだろう。
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