旅の96日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
封鎖区域のエネルギー反応がさらに上昇。
これまでの微弱な変化とは違い、今日は明らかに活性化しているのが分かった。ゼインが緊急でモニターのチェックを行い、すぐに艦長へ報告が入る。
「もう待つだけじゃダメだ。何かが起動し始めている。」
「警告:アクセスシステムオンライン」
モニターに新たなログが表示され、エリスが解析を試みる。
「これ……”外部との接続を試みています”ってこと?」
「いや……違う。これは、内部からのアクセス要求だ。」
全員が息を呑んだ。
「誰かが中から開けようとしている。」
艦長はすぐに全乗員に警戒態勢を指示した。
「全ユニットへ通達。封鎖区域内で未知のシステムが作動。物理的な侵入は許可されていないが、内部からアクセスの試みが確認された。直ちに警戒レベルを引き上げる。」
カイがヘルメットを手にしながら言う。
「このまま開くのを待つくらいなら、こっちから先に行くべきじゃないか?」
ライラがすかさず反対した。
「もしこれが”敵意を持ったもの”だったら? 私たちが開けることで何かを解き放ってしまう可能性は?」
ミラは黙ってデータを眺めていたが、小さく言った。
「もし……誰かがずっと中に閉じ込められていたとしたら?」
全員がその可能性について考えた。ログの中には”生命体1″の記録が残っていた。もしそれが今も存在し、このアクセス要求をしているとしたら……?
「開けるべきか、開けないべきか。」
ゼインは冷静に言った。
艦長はしばらく考えた後、慎重な指示を出した。
「まずは外部から制御できるか確認する。封鎖を解除するかどうかは、それを確かめてからだ。」
エリスとゼインが急いで端末を操作し、封鎖システムの解析を開始する。もし手動で制御できるなら、こちら側の判断で扉を開閉できるようにする必要がある。
僕たちは今、未知の何かと対峙している。
これは、”発見”なのか、それとも”接触”なのか——。
明日、艦長は決断を下す。
そして、僕たちは選択することになる。この扉を開くのか、それとも閉じたままにするのか。
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