宇宙船ノア・アルカ号　乗船日記　65日目

旅の65日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

惑星ゼオフォスでの調査は依然として中断されたままだ。カルニファクスという未知の脅威を前に、全員が慎重にならざるを得ない状況が続いている。一方で、探査チームのリーダーであるカイ・レンツの治療が、新たな局面を迎えた。

ライラを中心とした医療チームが判断し、カイの重傷を負った腕をメカ・ヒューマンズとバイオ・ヒューマンズの技術を融合させた再建手術で治療することが決まった。彼の腕は通常の人体再生では回復が難しいほどの損傷を受けていたため、これが最善の選択だった。

ゼインは手術に使うメカニカルなパーツの設計を担当していた。彼は「カイが探査を再びできるように、より自然な動きと耐久性を兼ね備えた設計にする」と語りながらも、その表情はどこか複雑だった。ゼイン自身がメカ・ヒューマンズであるだけに、カイが新しい腕をどう受け入れるかを案じているようだった。

ミラも治療に関わる準備を手伝いながら、「バイオ・ヒューマンズの再生技術で彼の腕がさらに馴染むようにサポートしたい」と話していた。彼女が育てている植物から抽出した再生促進物質が、手術後の回復を助ける一役を担う予定だという。自然と技術が一つになる瞬間を目の当たりにするのは、彼女にとっても特別な経験のようだった。

エリスは記録を取る役割を引き受けていた。「今回の手術は、未来の医療や技術融合のモデルケースになる」と話しながら、地球の歴史と未来の技術進化を繋ぐ視点でこの出来事を捉えていた。

ライラは医療ユニットで忙しく準備を進めていたが、「手術は成功する。彼の身体も、彼の意思も強いから」と断言していた。彼女の確信に満ちた言葉に、船内の緊張感が少し和らぐのを感じた。

夜、カイの手術の準備が進む船内を静かに歩きながら考えた。彼の腕は、単なる身体の一部ではなく、彼が探査を続けるための希望そのものだ。この技術が成功すれば、僕たちはゼオフォスで新しい未来を切り開く力を手に入れるかもしれない。

明日には手術が行われる予定だ。全員の期待と不安が入り混じる中で、僕たちは彼の無事と回復を祈っている。カイの新しい腕が、未来への道を切り開く鍵となることを願いながら、今日は眠りにつこう。