宇宙船ノア・アルカ号　乗船日記　8日目

旅の8日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

今日はバイオ・ヒューマンズの乗員たちと少し話す機会があった。彼らは遺伝子改良によって、人間の限界を超えた身体能力や適応力を持っている。たとえば、呼吸器系を強化された彼らは酸素濃度の低い環境でも平然と活動できるし、骨や筋肉の構造も宇宙の無重力に適応しているという。

特に印象的だったのはミラという女性。彼女は船内の農業ユニットで働いていて、植物の世話をしている。彼女の手は普通の人間よりも細長く、関節が柔軟に動くように改良されている。それが植物の繊細な管理にとても役立つらしい。「地球では手を汚しながら農作業をするのが普通だったけど、今は体そのものが道具になる」と笑って話していた。

彼らは適応のために多くを犠牲にしてきた。中には、遺伝子改良の代償として短命な人もいると聞く。それでも、彼らは自分たちの役割を果たすことに誇りを持っているようだった。その姿に、僕自身も勇気づけられる。

夜、ミラが育てていた小さな花が咲いたと聞いた。宇宙船の中で咲いた一輪の花――それはまるで、彼女たちの存在そのもののようだった。厳しい環境の中で生きる希望を育てる姿が、僕にはとても美しく見えた。