旅の10日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は朝から船内の雰囲気が少しざわついていた。何人かの乗員が、通信室で古い地球の記録データを発見したらしい。映像データの一部を共有スペースで上映したところ、全員が手を止めて見入っていた。映っていたのは、地球の昔の街並み。人々が市場で買い物をしたり、広場で笑い合ったりする姿だ。
特に印象に残ったのは、映像の中にあった祭りの風景。大勢の人が色とりどりの衣装を着て踊り、夜には無数の灯りが空を照らしていた。誰かがぽつりと「こんな風景、もう二度と見られないのかな」とつぶやいた。その言葉がずしりと胸に響いた。
午後には、農業ユニットを再び訪れた。咲いたばかりの花はまだ小さいけれど、鮮やかな色を見せている。その花を見たミラが「これも一種の祭りかもしれない」と笑った。その言葉に少し救われた気がする。
夜、共有スペースで祭りの映像を思い返していた。いつか新たな星で、あんな風に笑い合える日が来るだろうか。僕たちがその未来を作るのだと思うと、改めて責任を感じる。それでも、その未来を信じたい。
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