旅の15日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は船内でささやかな集まりがあった。ミラが育てた花が完全に開花したことを祝うため、共有スペースにみんなが集まったのだ。その小さな花を囲むように、バイオ・ヒューマンズやメカ・ヒューマンズ、そして僕たちオリジナルに近いニュー・ヒューマンズが並び、言葉少なにその生命の奇跡を見つめた。
メカ・ヒューマンズのゼインも参加していて、「自然って、やっぱり不思議だな」とつぶやいていた。普段は無口な彼のその一言に、みんながうなずいた。彼のような機械の身体を持つ人でも、この花が放つ小さな生命の輝きに何かを感じるのだと思うと、どこか温かい気持ちになった。
その後、花を中心にして話が広がり、自然に地球の話題になった。誰もが自分の記憶や聞いた話を語り始めた。青空、風の音、木漏れ日――そのすべてが、今の僕たちには想像の中でしか存在しない。でも、みんなの話を聞いていると、まるでそこに戻れるような気がした。
夜になり、共有スペースが静かになった後も、その花は淡い光に照らされていた。僕は少しの間、その前に座り、地球での思い出を心の中で反芻した。次の星では、もっと大きな庭を作りたい。緑と花に囲まれた新しい家を築ける日が来ると信じて。
その思いを胸に、今日も眠りにつく準備をする。明日もまた、前に進むための一日だ。
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