旅の20日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日、共有スペースで多様な人類について話す機会があった。ニューヒューマンズ、バイオ・ヒューマンズ、メカ・ヒューマンズ――それぞれが異なる進化を遂げながら、今この船に集まっているのは奇跡のように思える。
バイオ・ヒューマンズのミラは、自分たちのことを「地球の形を残す存在」と言う。遺伝子改良によって寒冷地や水中、灼熱地帯に適応した彼らは、自然との共存を重視している。その結果、見た目や身体能力は大きく変わったけれど、自然への愛着は変わらない。それが彼らの強さだと思う。
一方、メカ・ヒューマンズのゼインは「効率と進化」を象徴する存在だ。機械化された身体は極限環境でも耐えうる力を持ち、彼らの技術力なしではこの船の維持は不可能だろう。でも、ゼインがよく口にする「俺たちは心を育てるために進化したわけじゃない」という言葉には、どこか彼らの孤独が滲んでいる。
ニューヒューマンズのエリスは、地球の知識と文化を守る使命を持っている。彼らは見た目こそオリジナルの人類に近いけれど、内面的には新しい役割を背負った存在だ。「私たちは過去と未来を繋ぐ橋」と言う彼女の言葉が印象的だった。
そして僕たちニュー・ヒューマンズは、その間を取り持つ存在なのかもしれない。どの種族にも完全には属さないけれど、すべてと繋がっている。それがこの船での僕たちの役割だと思う。
夜、星を眺めながら、未来のことを考えた。新しい星に降り立ったとき、これらの多様な人類がどのように共存し、新たな文明を築いていくのだろうか。それを考えると、僕たちの旅の意義がますます重く、そして希望に満ちたものに感じられた。
コメント