旅の28日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は特に大きな問題はなかった。環境維持ユニットの点検もスムーズに終わり、比較的穏やかな一日だった。船内の空気にも少しゆとりがあり、みんながそれぞれの作業を静かに進めていた。
昼休憩中、共有スペースでニューヒューマンズのエリスと話をした。彼女はデータベースで地球の古い料理のレシピを探していたらしい。「新しい星に着いたら、このレシピを使って本物の料理を再現したい」と話す彼女の目は、とても輝いていた。レシピには、僕が子どもの頃に食べたパンやスープの記述があり、懐かしさが込み上げてきた。
午後には、ミラの植物ユニットを訪れた。彼女が育てている植物の一部が小さな実をつけ始めていて、船内に小さな喜びをもたらしている。地球では当たり前だったこうした生命の循環が、今はとても貴重で、希望そのものに見える。
夜、窓の外を眺めながら、ゼインと少し話をした。彼は「新しい星で、俺たちは本当に一緒に生きていけるのかな」と呟いた。種族間の違いが時折壁になることを、彼も感じているのだろう。けれど、僕はこう答えた。「違うからこそ、それぞれが役割を果たし合える。だから僕たちは共に旅をしているんだ」と。
今日もまた、小さな希望を見つけた一日だった。この旅の先に、誰もが笑顔で食卓を囲む未来があることを信じている。僕たちは、その未来を作るために進み続ける。
コメント