旅の31日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は久しぶりに船内で特別な催しがあった。共有スペースで「地球の日」と題した小さなイベントが開かれたのだ。エリスが主導して企画したもので、地球の風景や文化を映像で振り返る時間を作った。普段はそれぞれの作業に集中している乗員たちも、今日は足を止めてその場に集まっていた。
映像には、広がる青空、緑豊かな森、穏やかな波が打ち寄せる海が映し出されていた。僕が子どもの頃に見た風景が目の前に蘇り、懐かしさと切なさが入り混じった感情が胸に広がった。エリスが「これはただの思い出ではなく、私たちが未来に再現すべき世界です」と話しているのを聞いて、改めて自分の使命を思い出した。
ミラは植物の種を持ってきて、「これが新しい星で未来の森になる第一歩だ」と言った。その小さな種を見ていると、それがどれほど大きな可能性を秘めているのかに気づかされる。
一方、ゼインは静かに映像を見つめながら、「俺たちはこれを取り戻すことができるのかな」と呟いた。彼の不安が伝わってきたが、僕はこう答えた。「できるかどうかじゃない。僕たちはそれを目指して進むしかないんだ」と。
夜、イベントが終わり、静けさが戻った船内で一人星を見上げた。あの映像に映った地球の風景が、新しい星で再び現れる日が来るだろうか。僕たちがそれを実現するための旅路は、まだ始まったばかりだ。明日もまた、その未来に向かって進んでいこう。
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