旅の43日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は何も特別なことがない一日だった。環境維持ユニットの定期点検は問題なし、船内も穏やかで、乗員たちもそれぞれの作業に集中していた。こうした日常が続くことは本当にありがたいけれど、その静けさが時々、僕たちが宇宙のど真ん中にいることを思い出させる。
昼過ぎ、共有スペースでエリスと話した。彼女は地球の文化データを整理していて、古い映画の映像を見せてくれた。「これは地球の2000年代に人気だった娯楽の一つ」と彼女が説明すると、ミラが「こんなに表情豊かに人々が動くなんて不思議」と驚いていた。僕も久しぶりに見たその映像に、地球での人々の生活が鮮明に蘇るような気がした。
その後、植物ユニットを訪れると、ミラが新しい花を咲かせる準備をしていた。彼女が「この船に少しでも新しい色が増えると嬉しい」と言った言葉が印象的だった。閉ざされた船内の中で、彼女の植物は僕たちにとっての小さな希望だ。
夜にはノヴァが「新しいシステム解析を試している」と話してくれた。彼女は感情をあまり表に出さないが、話している内容にはどこか安心感がある。彼女のような存在がいるおかげで、この船がどれだけ安定して動いているかを実感する。
何も特別ではない一日だったけれど、だからこそ、この静かな日常がどれだけ貴重なものかを感じた。新しい星にたどり着くその日まで、こうした日々の一つ一つが僕たちを支えているのだろう。
明日もまた、同じような日が続くことを願いながら、眠りにつこうと思う。
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