宇宙船ノア・アルカ号　乗船日記　45日目

旅の45日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

先日の隕石衝突の影響が予想以上に広がっていた。今日、船内で数人の乗員が体調不良を訴え始めた。ライラが迅速に調査を進めた結果、未知のウイルスによる風邪のような症状が確認された。おそらく隕石に付着していた微生物が、空調システムを通じて広がったのではないかという仮説が立てられている。

症状は軽度で、発熱や軽い咳、倦怠感が中心だったが、船内の狭い空間では感染が広がりやすい。ライラはすぐに隔離措置を取り、体調不良の乗員を医療ユニットに集めて対応を開始した。僕たち他の乗員もマスクを着用し、接触を最小限に抑えるよう指示を受けた。

ミラも植物ユニットの安全を確認していて、「植物は大丈夫みたい。だけど、こういうときこそみんなが安心できる場所を作りたい」と話していた。彼女は小さな花を摘んで隔離されている乗員に届けることを提案し、その思いやりが船内の空気を少し和らげてくれた。

ゼインは、空調システムの再チェックを開始し、感染拡大を防ぐためのフィルター強化を行っていた。「俺たちはこういうトラブルにも対応できるように作られている」と淡々と話していたが、その迅速な行動に全員が安心しているのが分かった。

エリスは医療ユニットに出入りするライラを手伝いながら、「地球の歴史でも、こうした微生物との闘いがいかに人類を進化させたかを記録している」と話していた。彼女の冷静な分析と歴史の知識が、ライラの治療計画にも役立っているようだった。

夜、窓の外を見ながら、自分たちの脆さを改めて感じた。未知の環境に旅をする僕たちにとって、こうした微細な危機がどれほど大きな影響を与えるかを思い知らされた。それでも、この船にはそれを乗り越えられる人たちがいる。それが僕たちの強さだ。

明日には、少しでも状況が良くなっていることを願いながら、眠りにつくことにする。