旅の47日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
ウイルスの感染拡大はようやく落ち着き始めた。ライラが作った治療計画が功を奏し、感染者の症状は徐々に改善している。医療ユニットの空気は少しだけ軽くなったように感じた。
朝一番でライラを訪ねると、彼女は疲れているにもかかわらず、穏やかな笑顔を見せてくれた。「みんなが協力してくれたおかげで、ここまで来られた」と言っていたけれど、彼女の頑張りがなければ乗員たちはもっと不安になっていたと思う。
その後、ゼインとともに空調システムの調整を行った。新しいフィルターシステムの稼働状況を確認し、感染が再び広がらないようにするための最終チェックだった。ゼインは「こういうトラブルが起きるたびに船の弱点が見えてくる」と話していた。その冷静さと行動力に、僕も学ぶところが多い。
昼にはミラが植物ユニットで小さな食用植物の試験栽培を始めていた。「みんなが元気になったら、これで簡単な料理を作りたい」と話す彼女の声は明るかった。彼女の植物たちは、船内に少しずつ安心感を与えてくれている。
エリスは感染データをまとめながら、「次の星では、こういう微生物の影響も考慮したシステムが必要になる」と語っていた。彼女の視点は常に未来を見据えていて、それが船内の誰もが目指すゴールを明確にしてくれる。
夜、船内の共有スペースで何人かの乗員が久しぶりに集まっていた。みんな少し疲れた顔をしていたけれど、そこには確かな連帯感があった。僕も一緒に話をしながら、ようやく一息つけた気がする。
今回の危機を通じて、僕たちはまた一つ成長した気がする。新しい星にたどり着くその日まで、こうして少しずつ、困難を乗り越えながら進んでいく。それが僕たちの旅の本質なのだろう。
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