旅の52日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
地球からのニュースが影を落とした昨日とは対照的に、今日は船内で希望を感じる出来事があった。ミラが植物ユニットで育てている種の一つが花を咲かせたのだ。白い小さな花だったが、その姿は船内にささやかな癒しと喜びをもたらしてくれた。
午前中、その花を見に行くと、ミラは「この花は、地球で絶滅寸前だった種を基にしているの。だから船内で咲いてくれたのが本当に嬉しい」と話していた。その言葉には、自然の力に対する感謝と未来への希望が込められていた。
一方でゼインは、空調システムの微調整を行いながら、「地球のニュースを見ると未来が心配になるけど、こういう花を見ると少しだけ希望が湧くな」とぽつりと言った。彼が普段のように淡々と作業する姿の裏に、地球での争いへの複雑な思いがあるのだろう。
午後には、エリスが「地球の争いから学ぶべきこと」というテーマで共有スペースで短い話をしていた。「私たちは地球の記憶を継承し、その中から平和への道を探さなければならない」と語る彼女の姿には強い意志が感じられた。その話を聞いた乗員たちは、それぞれに何かを考えているようだった。
夜、植物ユニットの花をもう一度見に行った。静かな船内の中で、その小さな花がまるで僕たちに未来を語りかけているようだった。この花はきっと、次の星でも新しい命の象徴として咲くのだろう。
地球のニュースに心を痛める日もあるけれど、この船の中には確かに希望がある。それを胸に、僕たちは未来を目指して進み続ける。そしていつか、この旅で培った希望を新しい星に根付かせる日が来るはずだ。
コメント