宇宙船ノア・アルカ号　乗船日記　53日目

旅の53日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

今日は船内で久しぶりにゆったりとした一日を過ごせた。環境維持ユニットの点検も特に問題なく、共有スペースでは乗員たちがそれぞれの時間を楽しんでいる姿が見られた。こういう日常の安定が、旅を続ける上でどれほど重要かを改めて感じた。

午前中、ライラと少し話す機会があった。彼女は最近の医療ユニットの仕事が少し落ち着いたと言いながら、「こういう平穏な時間が一番大切なのよね」と話していた。彼女自身、ウイルス対応の疲れがまだ完全には取れていないようだったが、それでも乗員たちを優先して動く姿には頭が下がる。

昼には、ミラが植物ユニットで新しい配置を試していた。彼女は「船内にもっと自然を感じられるように」と、小さな植物のグループをいくつかのコーナーに分けて配置していた。その緑が船内の無機質な雰囲気を少しだけ柔らかくしてくれている。彼女のこうした工夫が、僕たちにどれだけ救いを与えているかは言葉にできない。

ゼインもまた、自分の仕事に新しい工夫を加えていた。彼は「空調システムをもっと効率よく動かせるように」と改良案を考え、試作品を作っていた。「こういう小さな改善が、長い旅では大きな意味を持つ」と話す彼の目には、疲れよりも前向きなエネルギーが感じられた。

夜にはエリスが、地球の古い詩を共有してくれた。「私たちがどんなに遠く離れても、地球の言葉は私たちを繋げてくれる」と話す彼女の声は、船内の静けさの中で特に心に響いた。その詩には、希望とともに未来への祈りが込められているように感じた。

平穏な一日が続くことを願いながら、今日も静かに終わりを迎える。僕たちはそれぞれのやり方で、この旅を支え合っている。そして、その積み重ねが次の星での未来を形作るのだろう。明日もまた、この穏やかな歩みを進めていこう。