宇宙船ノア・アルカ号　乗船日記　60日目

旅の60日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

今日、新たに無人偵察ポッドを惑星候補に送った。その目的は、信号が途絶えた1台目のポッドの行方を確認し、信号消失の原因を突き止めることだった。しかし、そのポッドから送られてきた映像は、予想以上に衝撃的なものだった。

惑星の荒涼とした地表を映し出す映像の中に、1台目の無人偵察ポッドが姿を現した。しかし、その状態はひどく損傷を受け、まるで何かに押し潰されたかのようにグシャグシャになっていた。ゼインがその映像を解析しながら「単なる事故ではない。外的な力が働いた痕跡がある」と言ったとき、船内の空気が一瞬で緊張に包まれた。

エリスはデータを細かく調べながら、「この惑星の環境にはまだ未知の要素が多すぎる」と語った。映像には奇妙な影のようなものが一瞬映り込んでいたが、それが自然現象なのか、それとも何か他の存在なのかは判断がつかない。その影がただの錯覚であることを願うしかなかった。

ミラは映像を見ながら明らかに動揺していた。「この星で育てる未来を考えていたのに、こんなことがあるなんて」と声を震わせていた。彼女の植物たちに象徴される「再生の希望」が、この惑星では難しいのではないかという不安が見え隠れしていた。

ライラもまた、医療ユニットで何か考え込んでいるようだった。「もしこの星に未知の生物や危険な現象があるなら、適応するために人体への影響を想定しないといけない」と語り、さらなる調査の必要性を感じているようだった。

ゼインは「この映像を基に次の探査方法を考える」と冷静に語りながらも、その声にはどこか慎重さと危機感が含まれていた。彼の判断力が、この状況を切り抜ける鍵になるだろう。

夜、1台目のポッドの損傷した姿を思い出しながら窓を見上げた。この惑星が新しい故郷になるという希望が揺らぐ中、僕たちは何を優先して判断すべきなのか。未来のために慎重であるべきだが、前に進む勇気も必要だ。

明日は、映像データをさらに分析し、次の一手を考えることになる。たとえ困難が待ち受けていても、この旅を無駄にはできない。僕たちはその答えを見つけるために進み続けるしかない。