旅の62日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日も惑星候補への有人探査について議論が続いたが、ついに実施する方向で決定が下された。慎重な意見が多い中で、それでも直接データを得る必要性が優先されたのだ。議論の結果、探査チームは少人数で構成し、万が一の場合には迅速に回収できる体制を整えることが最重要とされた。
カイ・レンツが探査チームのリーダーとして選ばれたのは当然だった。彼はミーティングの後、「俺たちが一歩踏み出さないと、この惑星がどんな未来を持つか分からないだろ」と話していて、その目には強い決意が宿っていた。一方で、彼のような大胆な行動が不安を煽る声もあったが、カイは「リスクはある。でも、それが俺たちの使命だ」と笑顔を見せた。
ゼインは探査ポッドにさらに強化された通信装置と、簡易的なシールドを追加していた。「これで電磁波の影響を最小限に抑えられるはず」と語る彼の言葉に、探査が少しだけ安全になると感じた。ただ、その表情にはまだ慎重な思いが残っているようにも見えた。
ミラは「植物を持ち込むのはまだ時期尚早かもしれないけど、環境データを持ち帰れば次の準備が進む」と話していた。彼女も心の中では不安を抱えているようだったが、未来の希望を見据えて、今回の探査が意味のあるものになることを信じているようだった。
ライラは探査チーム全員の健康状態を入念に確認し、特に酸素濃度の低い環境での耐性テストを行っていた。「彼らが無事に戻ってくるためには、事前の準備がすべて」と言いながらも、その顔には心配が浮かんでいた。
エリスは、今回の探査を「人類が未知に挑む勇気の証」と表現していた。「地球の歴史を振り返ると、私たちは常にリスクを伴いながら新しい未来を切り開いてきた」と語る彼女の言葉に、乗員たちは少しだけ勇気づけられたように見えた。
夜、カイと短い会話を交わした。「不安か？」と聞かれたとき、僕は「少しだけ。でも君たちが戻ってくると信じている」と答えた。彼は頷いて「大丈夫。俺たちはこの星に未来を見つけるために行くんだ」と力強く言った。
明日、探査が開始される。全員が心の中で祈るような気持ちで見守ることになるだろう。僕たちの未来を切り開くためのこの一歩が、どうか希望に繋がるものであることを願いながら、眠りにつこう。
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