旅の63日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
新たな惑星「ゼオフォス」での探査は、予想以上に過酷なものとなった。探査チームが現地の地下洞窟で生命体と遭遇し、重大なトラブルが発生した。カイ・レンツを含む探査チームの数名がその生命体の攻撃を受け、カイは重傷を負って船内に戻った。
その生命体は、ミミズとクワガタを合わせたような異様な姿をしていた。硬質な外骨格に覆われた体は非常に耐久力が高く、酸性の分泌液を周囲に撒き散らしていたという。ゼインが設計した強化型ポッドでさえ、その分泌液によって簡単に溶解されたという事実は、このクリーチャーの恐ろしさを物語っている。
カイはなんとか回収されたものの、左腕に深い裂傷を負い、ライラと医療チームが全力で治療を行っている。「この分泌液が毒性を持っていなかったのは不幸中の幸い」とライラは言っていたが、それでも彼の傷が完全に治るまでには相当な時間がかかるだろう。
ミラはこの出来事に衝撃を受けていた。「ゼオフォスは自然が豊かで希望がある場所だと思っていたのに、こんな危険が潜んでいるなんて」と呟いていた。その目には悲しみと不安が混じっていたが、それでも彼女は植物を育てる作業を止めなかった。「どんな環境にも適応できる植物が、この星で未来を切り開くかもしれない」と信じているようだった。
ゼインは「この生命体をもっと詳しく調査する必要がある」と語り、すでに収集されたデータを分析し始めていた。彼は、その能力や行動パターンを把握しなければ、次の探査も進められないと言っていたが、その声には苛立ちと責任感が入り混じっていた。
エリスは、今回の出来事を地球の歴史に照らし合わせて分析していた。「これほど過酷な環境で生命が進化していること自体が、この惑星の可能性を示している」と語りながらも、「同時に、我々がここでどれだけ脆弱な存在であるかも痛感する」と続けた。
夜、カイの無事を祈りながら、窓の外の星々を眺めた。この惑星ゼオフォスが、新しい故郷として本当にふさわしい場所なのか。今回の出来事は、その答えをさらに遠ざけたように感じる。
それでも、僕たちはこの旅を止めるわけにはいかない。ゼオフォスの未知を解き明かすことでしか未来は見えてこないのだろう。明日は、さらなる調査と慎重な判断が必要だ。僕たち全員で、この一歩を乗り越えなければならない。
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