旅の67日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日はゼオフォスを後にする準備が本格的に始まった。船内では、新たな惑星候補を探すためのデータ分析が進められているが、その空気はどこか重く、ゼオフォスを諦めるという決断が全員に影響を与えていることを感じた。
カイはリハビリの途中で僕にこう言った。「ゼオフォスでの失敗を恐れるべきじゃない。次の星では、今回の経験を活かせばいい」と。彼の新しい腕は、まだ慣れが必要だが、驚くほどスムーズに動いていた。彼自身もその技術に感謝しているようで、「この腕のおかげでまだ探査に挑める」と前向きな気持ちを語っていた。
ゼインは技術チームとともに、次の惑星探査に使う新型ポッドの設計を始めていた。「今回の教訓を活かして、より頑丈で防御力の高いものを作るつもりだ」と語る彼の表情は、失敗から学び次へ繋げる強い意志を感じさせた。
ミラは植物ユニットで、ゼオフォスの環境データを元に新しい栽培方法を模索している。「ゼオフォスで育つ可能性があった植物たちを、次の星でも試してみたい」と言って、彼女は決して自然への希望を失っていないようだった。その姿に、僕自身も救われる気持ちになった。
エリスはゼオフォスで得られたデータをまとめる作業に没頭していた。「たとえこの星を諦めても、そのデータは未来の資産になる」と語り、ゼオフォスを後にすることを前向きに捉えようとしていた。彼女のように過去を記録し、未来に繋げようとする姿勢は、僕たちにとって欠かせない存在だ。
ライラは引き続き乗員の健康管理に努めている。精神的に疲れが見え始めている乗員も多い中で、「ゼオフォスを諦めるのは失敗じゃない。全員が無事であることが一番大事」と語る彼女の言葉が、船内に安心感をもたらしていた。
夜、ゼオフォスの淡い影が遠ざかる様子を窓越しに見つめながら思った。この星で過ごした日々は短かったが、僕たちにとって多くの学びと挑戦を与えてくれた。そして、その経験は無駄にはならない。
次の星では、どんな未知が待っているのだろうか。僕たちはまた新たな希望を胸に抱きながら、次の一歩を進んでいく必要がある。それがどれだけ困難な道であっても、前に進むことが僕たちの使命だから。
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