旅の69日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日、新しい惑星候補の詳細データが共有された。その中で特に注目されたのは、「セリナ」という星だ。地球と同じように大気中に酸素を含んでおり、安定した気候を持つ可能性が高い。だが、表面は厚い霧に覆われており、視界が非常に限られるという特徴がある。この霧の成分が生命にとって安全かどうかはまだ不明であり、新たな挑戦が予想される。
船内の空気は少しずつ前向きになりつつある。セリナの可能性に、乗員たちの間にも希望が広がっているように感じる。とはいえ、ゼオフォスでの経験があるだけに、慎重さも同時に漂っている。
カイはリハビリの合間にセリナのデータを見て、「霧の中にはきっと何かがある。それが危険か、それとも希望か、俺たちが確かめるしかない」と話していた。彼の新しい腕は、まだ完全には馴染んでいないものの、驚くほど自然に動いている。その姿を見ていると、彼が再び探査に出る日もそう遠くないと思えた。
ゼインはさっそくセリナに適応した探査ポッドの設計を始めていた。「霧の中でも確実に動ける機能を追加する必要がある」と言いながら、霧を通してセンサーが正常に作動するための改良案を練っている。彼の冷静さと行動力が、僕たちの前進を支えてくれている。
ミラは「セリナの霧が植物にどんな影響を与えるか調べたい」と話していた。彼女はすでに霧の成分を分析するシミュレーションを始めており、新しい星で育てられる植物の可能性を探っている。彼女の情熱が、この旅の希望を形作っていることは間違いない。
エリスはセリナを「地球の失われた森のような星」と表現し、霧の中に隠された歴史や生命の可能性を語っていた。「未知は恐怖であると同時に、発見のチャンスでもある」と語る彼女の言葉に、全員が少しだけ背中を押される思いをしているようだった。
ライラは、もしセリナに降り立つことになった場合に備え、霧の成分が人体に与える影響を調べている。「慎重に進むことが大切。でも、これが安全だと分かれば、この星は私たちの新しい希望になる」と語る彼女の姿は頼もしかった。
夜、窓越しにセリナがある方向をぼんやりと眺めた。その星には、まだ見ぬ未来が待っている。その未来が安全である保証はどこにもないが、僕たちはそれを確かめるために進むしかない。
この旅は、試練と発見の連続だ。それでも僕たちは進む。セリナが新しい故郷となるかどうか、近い未来にその答えが出るだろう。僕たちはその答えを探しに行く。明日もまた、一歩を踏み出すために。
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