宇宙船ノア・アルカ号　乗船日記　70日目

旅の70日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

新しい惑星候補「セリナ」に到着するまで、どうやら数ヶ月はかかる見込みだと発表があった。その知らせに、船内には一瞬静かな空気が流れた。数ヶ月――僕たちの船ではそれほど珍しい時間ではないが、この間に何が起きるのか、どれだけ準備が整うのか、誰もがその長さを実感している。

エリスは「この期間はセリナについてのデータを分析し、できる限りのシミュレーションを行うべきだ」と話していた。彼女はすでにセリナの霧の成分に関するデータをまとめ始めており、その成果が着陸後の準備に活かされるはずだ。彼女の冷静な視点は、こうした長期間の旅において特に心強い。

カイは、「この数ヶ月は俺のリハビリには十分すぎる時間だ」と笑っていた。彼の新しい腕はすでに驚くほどの適応を見せており、ゼインも「これなら探査に問題なく参加できる」と太鼓判を押していた。カイ自身も次の探査に強い意欲を見せており、その姿が乗員たちに少しずつ前向きな空気を広げている。

ゼインは技術チームとともに新型探査ポッドの開発に没頭している。「セリナに到着する頃には完璧な装備を整える」と語り、その手はすでに設計図で埋まっていた。彼のような存在がいることで、僕たちは未知の環境に踏み出す準備を進められる。

ミラは植物ユニットでさらに多くの実験を始めていた。「この数ヶ月で、セリナの環境に適応する植物の基礎を作りたい」と語り、その目は輝いていた。彼女の努力は、次の星での生活を支える大きな力になるだろう。

ライラは乗員全員の健康状態を定期的にチェックしながら、「この時間は心のケアにも使うべき」と話していた。長い旅路では、身体だけでなく心の健康も重要になる。彼女の細やかな配慮が、船内の安定感を保っている。

夜、静かな船内の窓から宇宙を見上げた。この数ヶ月間は、僕たちにとって準備の時間であり、試練でもある。セリナがどんな未来を見せてくれるのかは分からないが、僕たちはその一歩を進むための準備をするだけだ。

この旅が続く限り、僕たちは前に進む。その先にある希望を信じて、明日もまた小さな一歩を積み重ねていこう。