旅の77日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日はこの宇宙船の艦長、ヴィクター・ハーディについて書こうと思う。彼は普段目立つことは少ないが、船内の全員が彼の存在を心から信頼している。それだけの威厳と判断力を持った人物だ。
ヴィクター艦長は、元々地球の宇宙開発計画の指揮官を務めていたらしい。彼がこの船の艦長に選ばれたのは、単に経験や能力があるからだけではなく、人々をまとめる力を持っているからだろう。彼の一言には重みがあり、どんな緊迫した状況でも冷静に対処する姿勢が、全員に安心感を与えている。
艦長は、どんなに忙しくても乗員一人ひとりの話を聞く時間を作っている。僕も何度か話す機会があったが、その時彼は「この旅はお前たち全員の力がなければ成功しない。だから自分の役割を大切にしてくれ」と穏やかに語った。その言葉が、今も僕の支えになっている。
ゼオフォスのカルニファクスに遭遇した際、艦長の決断は非常に迅速だった。探査チームの安全を最優先に考え、すぐに作戦を切り替える指示を出した。危険な状況を最低限の被害で乗り越えられたのは、艦長の判断力のおかげだと言っても過言ではない。
彼は普段控えめだが、全体ミーティングではその鋭い洞察を見せることがある。セリナへの長期間の旅についても、「この旅は長い挑戦だが、その先には必ず未来がある」と力強く言った。その言葉に、多くの乗員が勇気をもらったと思う。
船内では、艦長室で多くの時間を過ごしているが、彼が何を考え、どんな計画を立てているのかはほとんど明かされない。それでも、彼が見ている未来を信じて進むことが、この旅の希望だと思っている。
夜、艦長が語った「自分の役割を大切にしてくれ」という言葉を思い出しながら、この旅で自分ができることを改めて考えた。艦長のように冷静で強い存在にはなれないかもしれないが、僕にできる小さな一歩を積み重ねることが、この旅の一部になるはずだ。
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