旅の81日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は比較的穏やかな一日だった。定期的な環境維持ユニットのチェックを終えた後、船内をゆっくり歩いてみた。特に大きな出来事はなかったが、こういう日が長い旅の中ではとても大切だと感じる。
昼前に共有スペースでカイと話す機会があった。彼はリハビリを続けながらも、新しい腕にかなり慣れてきた様子だった。「まだ完全に自由に動かせるわけじゃないけど、これなら次の探査にも行ける」と言っていた。その目には以前と同じ、前向きで力強い光が宿っていた。
午後にはゼインが新型探査ポッドの設計について進捗を共有してくれた。霧に対応した新しいセンサーの試作品がほぼ完成したらしい。「まだテストが必要だけど、これでセリナの環境に踏み込める手がかりが掴める」と話していた。彼の慎重さと情熱が、この旅を確実に支えている。
夕方、植物ユニットに立ち寄ると、ミラが新しい実験をしていた。「この植物がセリナで根を張れるようになればいいんだけど」と話しながら、彼女は緑の小さな苗を大切そうに手にしていた。彼女の姿を見ていると、どんな困難な環境でも希望を見つけられる気がする。
夜は星を眺めながら、これまでの日々を少しだけ振り返った。ゼオフォスでの経験や船内での時間、それぞれの乗員が支え合いながら未来を探し続けていることが、僕たちを前に進ませている。
何も特別なことがない一日だったけれど、その静けさが旅の中ではとても貴重に思えた。こうした穏やかな日々の積み重ねが、きっと未来へ繋がるのだろう。明日もまた、小さな一歩を大切に過ごしたい。
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