旅の83日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
突如、船内に鋭いアラームが響き渡った。
警報の音に驚きながらも、即座に環境維持ユニットの状態を確認したが、異常は見当たらない。共有スペースに駆けつけると、すでに何人かの乗員が集まっていた。ゼインがタブレットを片手に船内システムをチェックしながら「メイン動力に異常はないが、一部のセンサーが外部からの干渉を検知した」と言った。
エリスはデータ解析を急ぎ、「原因不明の電磁波の影響かもしれない」と推測した。船の航行システムに影響はないものの、通信が一時的に乱れた形跡がある。
カイはすぐにヴィクター艦長の指示を仰ぎに向かった。艦長はすでに状況を把握していて、「冷静に対応しろ。まだ何も確定していない」と静かに言った。その落ち着いた声に、船内の緊張感がわずかに和らいだ気がした。
ライラは医療ユニットを確認し、生命維持システムへの影響がないことを確認した。「今のところ乗員への直接的な影響はなさそう。でも、これが続くなら注意が必要」と言っていた。
ミラは植物ユニットの状態を心配していたが、設備には問題はなかった。しかし、彼女の表情には不安が浮かんでいた。「電磁波の影響が長引いたら、植物の成長にも影響するかもしれない」と小さく呟いていた。
今のところ、被害はない。しかし、この電磁波が何なのか、どこから発生しているのかは分かっていない。セリナへ向かう途中のこのタイミングで起こったことが、単なる偶然なのか、それとも何か別の意味があるのか。
アラームはすでに止まったが、船内にはまだ不安な空気が漂っている。今日はほとんどの乗員が警戒態勢を崩さずに過ごすことになるだろう。僕も今夜はあまり眠れそうにない。
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