旅の85日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
電磁波の発生源が特定された。船外に存在する人工物から発せられていることが分かった。
ゼインとエリスが解析を進めた結果、電磁波の波形が自然由来のものではなく、明らかに人工的なパターンを持っていることが判明した。さらに、探査用の外部スキャナーで詳細なデータを取得したところ、船の進行方向の先に何らかの構造物が浮かんでいることが分かった。
「これは…人類のものなのか? それとも…?」
共有スペースに集まった乗員たちは、エリスの言葉に息をのんだ。地球を離れて久しい僕たちにとって、未知の人工物との遭遇は予想外の展開だった。
カイは「これが何かの残骸なのか、それとも今も機能している施設なのか、それが問題だな」と腕を組んで考え込んでいた。彼の言う通り、ただの宇宙ゴミならいいが、もし何らかの意図を持って動作しているものなら慎重に対応する必要がある。
ヴィクター艦長はすぐに方針を決めた。
「まずは詳細なスキャンを行い、接触の可否を判断する。その間、乗員は警戒態勢を維持し、異常があれば即座に報告すること。」
艦長の指示のもと、ゼインと技術チームがセンサーを強化し、より鮮明なデータを得る準備を進めた。エリスも過去のデータと照らし合わせ、これに類似するものがないかを調査している。
ライラは「もし未知の人工物が発する電磁波が生体に影響を与えるものだったら、慎重に対応しないといけない」と言い、乗員たちの健康状態のモニタリングを強化していた。
ミラはこの件について何か意見を持っているわけではなかったが、植物ユニットで静かに作業をしながら、「私たちが向かう先に、すでに誰かがいたのかもしれないね」とポツリと呟いた。その言葉が妙に心に残った。
夜、窓の外を眺めた。そこに見えるのは、相変わらずの静寂と無数の星々だ。しかし、僕たちの進む先に何かがあることは確かだった。
それは、僕たちが知るべきものなのか、それとも避けるべきものなのか。
明日、さらに調査が進められる。果たして、この人工物が僕たちにとって脅威なのか、それとも新たな可能性を秘めたものなのか——それを知る時が来る。
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