旅の87日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は朝から艦長が全員を集め、船外の人工物についての最終決定を下した。
「慎重に調査を進める。我々はただの旅人だが、この先に何が待っているのかを知らずに進むのは危険だ。」
つまり、探査チームを編成し、慎重にこの漂流物の調査を行うことになった。カイが真っ先に探査チームに志願し、ゼインも技術者として同行することが決まった。
「俺の腕の調整も終わったし、そろそろ本格的に動きたかったところだ」とカイは言いながら、新しい義手を軽く動かしてみせた。ライラはしぶしぶながらも彼の状態を確認し、「無理をしないことが条件よ」と念を押した。
探査チームは小規模で編成されることになり、カイとゼイン、さらに経験豊富な乗員が数名加わることになった。ゼインは探査用のポッドを調整し、「念のため、防御シールドも強化しておいた」と準備万端の様子だった。
エリスは「この船の記録を可能な限り残してほしい」と探査チームに頼んでいた。彼女の興味は明らかだった。この人工物が何であるかを知ることは、人類の歴史にとっても大きな意味を持つかもしれない。
ミラは静かに植物ユニットで作業をしていたが、「私たちは未知の環境を開拓しに行くつもりだったけど、もしかしたら誰かの残した跡を辿ることになるのかもしれないね」と呟いた。その言葉の意味は、誰にもまだ分からない。
夜、カイたちは最終準備を進めていた。明日、彼らは探査ポッドであの漂流物に向かう。
窓の外にぼんやりと見える影。それが何であれ、僕たちの旅にとって新たな転換点になることは間違いない。
明日、何が待っているのか。静かな宇宙の中で、その答えを待つしかなかった。
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