宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 89日目

旅の89日目 – 日記

地球歴2482年、星間暦元年

今日はついに探査チームが漂流物の内部へ向かった。カイ、ゼイン、エリス、そして選抜された技術者2名が慎重に進入し、船内の探索を開始した。

船内のモニターには彼らのヘルメットカメラの映像が映し出されている。暗闇の中、ドローンで確認した制御室へと続く通路を慎重に進んでいくカイたちの姿が見えた。

「重力はほとんどない。気圧もゼロ。空気は……有毒ではないが、呼吸可能なものではない」

ゼインがスキャナーを確認しながら報告する。やはりこの船は長い間放棄されていたようだ。しかし、問題はそれだけではなかった。

「……おかしい。ここには誰かいた痕跡がある」

エリスがそう言った瞬間、映像に奇妙なものが映った。

床に刻まれた、無数の傷跡。

それは何かが引きずられたような痕跡だった。まるで、誰かがもがきながら引きずられていったかのように。

カイが慎重に進み、コンソールの前に立った。彼が触れると、予想外のことが起きた。

制御パネルの一部がかすかに点灯したのだ。

「……電源がまだ生きてる?」

ゼインが驚きの声を上げる。通常、これだけ損傷が激しい船なら完全に機能を失っているはずだった。だが、この船の一部は、まだ稼働しているのだ。

「ログデータを抜き取れそうか?」

艦長の声が通信越しに響く。エリスがすぐに作業を開始した。

「データは……ある。でも、暗号化されてる。解析には時間が必要ね。」

彼女が言い終わる前に、ゼインが低い声で呟いた。

「カイ、そこを見ろ。」

カメラが向けられた先にあったのは、船内の奥へ続く扉。

その表面には、ドローンの映像では確認できなかったものが刻まれていた。

「警告」のような記号。そして、その扉の隙間から滲み出た何かの痕跡。

カイが手を伸ばそうとした瞬間、艦長が即座に制止した。

「そこには触るな。一旦、帰還しろ。」

探査チームは慎重にデータだけを持ち帰り、無事に戻ってきた。しかし、誰もが沈黙していた。

この船は、ただの漂流物ではない。何かがここで起こり、それはまだ終わっていないのかもしれない。

夜、船室で映像を見返しながら考えた。あの傷跡は何を意味するのか。警告の扉の向こうには何があるのか。

そして、まだ動いているシステムは何を維持しているのか——。

明日、エリスが回収したデータの解析を開始する。その答えが、何を示すのかはまだ分からない。

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